コンセプト

 

日本のジーンズ「MONPE」

1942年、厚生省が婦人標準服という規格を発表し「もんぺ」は活動衣として指定され全国に広まりました。私たちが暮らす福岡県南部の筑後地方では久留米絣という伝統工芸が今でも残ります。20数件ほどの織元が存在し、今も織物を続けています。久留米絣は綿織物で、昔ながらの織り機を使用しているので、限りなく手織りに近い風合で、やわらかく丈夫です。この地方では昔からもんぺの生地が織られていました。ある時「もんぺは今の時代でも履けるのではないか。」と考えはじめ、着方の提案や布の開発をはじめたのが2011年です。
アメリカの「ジーンズ」は、元来鉱夫のワークパンツとして使用されており、それが日常着に変わっていったという歴史があります。日本の「もんぺ」も農作業からはじまり、日常着へと変化していく可能性があるのではないかと取り組みを続けています。

プロデュース
うなぎの寝床 白水高広

 

進化していく「MONPE」という概念

1.細身で現代で穿ける現代風MONPE / コンテンポラリー

農作業着として戦後定着した「もんぺ」、その形状はお尻周りが大きく、ゆったりとしたシルエットでした。うなぎの寝床が開発した現代風もんぺの型紙では、地域の人たちがタンスの肥やしにしていた反物や着物を解いた布でもんぺを作りたいという要望に答え、型紙を製作しました。昔は布が安かったのでたっぷりと使っていましたが、布を節約しながら、約36cm(着尺)の幅を活かして簡易的な設計にしていった結果、もんぺの機能はそのままに、細身のMONPEが生まれました。これが今現代においてのスタンダートなMONPEです。
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2.ワイドに穿けるファーマーズMONPE / ルーツ

現代風だけではなく、プロダクトとしても歴史を知ってほしい。ということで2019年にリリースするのが、このファーマーズMONPEです。農作業着として定着していたもんぺから型を参考にしながら、整えてきました。「穿く」という観点で言うと、細身の現代風MONPEは、スッキリしていて、ひざ下も細身になっています。7年間様々なお客さんと会話をする中で、ちょっときついということも多くありました。それならやはり歴史を知ってもらうと同時に、このルーツとなる農作業着の型が最適だろうと開発したのがファーマーズMONPEです。
→ ファーマーズMONPEの紹介はこちら

 

+α.  世界の布を穿き比べる型(フォーマット)としてのMONPE / コンペアー

「現代風MONPE」「ファーマーズMONPE」2つの型をフォーマットとして捉えながら、生地に関しては久留米絣だけではなく、日本の布、世界の布を使っています。ただのファッションではなく、世界の生地を穿き比べる、見比べるためのフォーマットとして機能することを願っています。久留米絣はもちろん、播州産地(兵庫西脇)、遠州産地(静岡)、備後節織(広島福山)、泥染め(鹿児島奄美大島)、南風原花織(沖縄南風原町)、他にもクリエイターとのコラボレーションの生地など、広がりを見せています。各ページからご覧ください。